雑談日記さんのエントリで紹介されていた、
1時間半の長いビデオを延々見た。なんだか眠れなくて。
聞き手が 神保哲生さんと宮台真司さんということで、筑紫さんとか古館さんとかテリーさんとか(え、論外?)よりずっと僕にとって信用のおける人たちだから、観てみる気になったのだけど、これはねえ、いい番組だと思った。うん。いい。とてもいい。
長い時間をかけただけあって、とりあえず荒井議員が反対する理由というのがよく理解できたし、そうか、そういう問題があるっていう頭で、次は賛成派の人の意見を是非聞いてみたいなあという気になった。
しっかし荒井議員の、いかにも政治家らしい、「聞かれたことにまっすぐシンプルに答えない」「聞かれたことに答えながら必ず脇道にそれて自己アピールする」というトーク作法は、他の議員センセーより随分マシとはいえ、ちょっと食傷気味。まあでも、好感度はB+といったとこか。ポジティブですよ。神保さんが「ま、それはさておいて」と華麗にスルーしてくれてたし。
話題としては、
1. 郵便局ってのは一軒で3つのサービスやってるから結構効率いいんだよ、っていう話。それを4社分社化してしまうと
1-1. 利益最大化のためには過疎地で郵貯、簡保が無くなったり(法案でユニバーサルサービスが義務づけられてるのは郵便だけらしい。知らなかった…)
1-2. スウェーデンやニュージーランドのように大量メールは安くなっても個人宛信書は高くなったり
1-3. 一般銀行のように郵貯の手数料がかかるようになったり
1-4. 民間の生命保険みたいに簡保も職業によって加入できなくなったりするんじゃないのか
という、利用者の不利益の話。
で、神保さんからの補足で、現在新聞社って、「過疎地でも離島でも同じ料金で新聞を配達できるように」という口実で再販価格制度(高く売れるので都市部では儲かっちゃう)を維持しているんだけど、それって新聞社はおくびにも出さないね。というのもあってなるほどやっぱりメディアは汚ねえなーとか。
2. 郵便局員の給料は切手代やはがき代といった郵政公社の収入でまかなってるから、郵便局員が公務員じゃなくなったところで政府の財政支出は変わらないんだという話。
えーと、国債の利子でまかなってるんじゃないのかー?というツッコミはとりあえずなかった。ていうかそのへん微妙すぎて僕はちょっとパス。
3. 2001年の大蔵改革のときに、郵貯の資金を大蔵省が直接特殊法人に流していたのをやめて財投機関債で市場から調達するようにしたにもかかわらず特殊法人はあいかわらず非効率で、でも公共性が高いという理由で国が介入して結局郵貯の資金を流している。それなのに、特殊法人の効率とか財投機関債のありようをなんとかしようっていう話じゃなくて郵政民営化すればなんとかなるっていう話になってる。特殊法人に関する法律はなにも出てない。という話。
アメリカの制度だと、公共性の高い事業を行う時にはその都度政府支援企業を入札により選定して国、州の信用で資金を調達するらしい。そういうお手本はあるよと。(ただしそのお手本がどの程度有効に機能してるかどうかは謎。)(なんか汚職の発生源ぽいにおいがするけど。)
4. 神保さんがむりやりっぽく発言した。マスコミの考えることとしてみれば、
「小泉の言ってるのはすごくわかりやすい、民主党は小難しくてよくわからん、わかりやすくて威勢の良い方を流す方が視聴率はとれる」って感じだろうと。うんうん同感。荒井さんの言ってることにしたって、結局のところ
「いろいろややこしい問題が山積みで、もっと議論が必要なんです」なんで、そりゃ時間制限が厳しいテレビじゃあ「なんだかわからん」でおしまいだよね…
宮台さんの解説で、民主党は小泉法案に反対なんだけど郵政族が多くて弱みがあるのでなんだか歯切れが悪く、マスコミに露出する機会がいっぱいあるのにどうにも下手くそだと。うんうん同感。ほんとそう思う。
というか、だから
喧嘩屋小泉のテーマ選定が絶妙すぎたんだって(25日のエントリ)。
5. 小泉、竹中両氏の「真意」について。そばで見た印象の話。やっぱり生で近くで見てる人の印象だから、マスコミの外野がガチャガチャ言うよりは聞く気になるね。
6. 宮台さんがウォールストリートジャーナルで「われわれが3兆ドルを手に入れるのはもう少し先」だのなんだの書いてあるよと紹介。われわれっていうのは、アメリカの金融業界やアメリカという国でしょうねって。あれれ、
その文の主語って「we」じゃなくて「global finance industry」だって話はだいぶ有名になってるのに。宮台さんともあろう方がっっ。
ほかにもイロイロ。ていうか上を書いてる間になにがあったか忘れ…
いや、あとは自分で観てください。
神保・宮台の丸激トーク・オン・ディマンド